多分当事者じゃないとあんまり面白くない話

 

クラスに友達がいない高2の頃の自分は、いつも友人Sのいる2年5組で昼飯を食べていた。S君は真顔でいつも大抵ろくでもないことを考えているので、その日も弁当を食べている時、だいぶ唐突だった。

 

S「俺は考えた」

「世の中の女子は、爽やかで立ち振る舞いがスマートな男を好む。そうだろう?」

「俺が爽やかに女子に話しかけようものなら、その女子に『ちょ、近寄るな!童貞がうつる!』って言われる未来しか見えない」

 

確かに世には合う合わないというものがある。友人のS君と爽やかなイケメンという組み合わせは確かにミスマッチだけれどそれを自分でそんなに言って悲しくないのかうんぬん。

 

S「そこで、そこでだよ○○(本名)よ」

「爽やかな男がなぜモテるのか!!なぜ俺はチヤホヤされないのか!!」

 

多分そういうところだけど口を挟むとキレられそうなので黙る。手を顔の前で組んで両肘を机に付け、真剣そうな顔をするSを放っておくのも可哀想なので、それっぽく同じポージングを取る。キリッとしているのに彼は全く爽やかではない。

 

S「爽やかでクレバーな男の行動には無駄がないんだ。その口数の少なさからその台詞の1つ1つの重みは増し、女の子の記憶に強く残る。」

「それで女の子はその記憶に残った彼を思い出して、『これって、恋!?(裏声)』ってなるわけよ。」

 

「つまり…?」

 

S「俺たちは女の子に『これって、恋!?(裏声)』と思わせれば勝ちなんだ。それなら爽やかなあっさり系で攻めなくてもいいじゃない!逆転の発想から、こってり系男子という概念をここに作る」

 

結果を得るためのアプローチはひとつではない。彼の哀れな脳は女子にモテたいがために逆転の発想でその方法をはじき出した。あと一人称を俺たちにするのやめてもらっていいっすか…

 

S「こってり系男子は誰でもなれる。女の子の記憶に無理やり自分をねじ込むだけなのだから。あっさり系が1発の会話や立ち振る舞いで印象付けるならこってり系はその100倍その子のありとあらゆる状況に映り込めばいい。そうして日常の中にいつも寄り添うこってり系男子に気付いた女の子は恋に落ちるのさ(ここで癖毛の前髪をファサ…てする)」

 

そういえばジブリ映画の「目を凝らせば」みたいなタイトルの男の子がまさにこってり系男子だった。彼でこってり系もモテることは立証されている!こってり路線いけるじゃん……!!!

 

Not To Be Continued

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わかるとは思いますが、この友人S、今回のがノリと勢いの会話であること抜きにしてもかなり変な人なんですよね。曰く、クレイジーな家系の中で自分だけはまともだと思っているらしい。全校集会の部活の壮行式で前の部活の「部員募集してます!」に便乗して彼女募集しようとしたくらいにはおかしい。こいつに剣道部部長を任せて大丈夫なのか。家系の血は自分の代で終わらせなければならないと彼はよく言うけど俺も割とそう思う。そんな彼ではあるけれど、少ない高校時代の友人として大切だったりするので(音信不通だけど)、この日記も気分で続いたり続かなかったりするよ。

 

次回!「こってり系男子の王道にして理想デート」