とある魔法少女のモノローグ

魔法少女というのも簡単ではない。魔法少女と聞くとご都合主義だろ、なんて思われがちだけど、現実にはそんなモン存在しない。誰だそんな適当言ったやつは。さらに言うと、学業との両立なんてできたもんじゃない(リリカに魔法少女は部活かとツッコまれた)。それに、魔法少女の力は世界を救う力であって、個々人の勝手な事情で使うのもタブー。学校に遅刻しそうだから、などという理由で転身するなんてのはもってのほか。

まぁこんな年端のいかない少女たちに世界を委ねる世界だ、融通が利かないくらいで今更驚いたりはしないけど。私、魔法少女ルルカは少し、なんのために戦っているんだろう、とは思う。

 

その理由を説明するには私の魔法少女の同僚を説明する必要がある。魔法少女リリカ、桃色のハイツインテールの女の子。その小さな背中に、背負いきれないほどの魔法少女という肩書きを背負い、いつも笑ってる、そんな子。私は知っている。あの子は普通の女の子だと。私は知っている。あの子の努力を。苦しみを。それでも世界のために戦う彼女を。そんな姿を不思議に思うと同時に羨ましいとも思った。

最初は、単に自分にはない心の清さを羨ましく思ってただけだと思う。だが彼女と過ごすうちに、尊敬は思慕を纏い、思慕は恋慕に昇華した。ただ、あの子には危なっかしさがある。年頃の女の子なのだ、直せという方が無理がある。だから、私が傍にいなくてはいけない。

そうだ。私は世界のためではなく、彼女を支えるために戦おう。あの子の理想を誰にも穢させないために。あの子の夢の邪魔になるものはその悉くを露払いしよう。そして世界と彼女が天秤に掛けられたら、迷わず彼女を選ぼう。

それでいい。魔法少女ルルカはそういう子だ。

 

放課後。机に突っ伏して眠る同輩を眺めながら、ルルカは1人、そんなことを考えていた。